2022/07/26 09:02
バティクを選ぶ時は、もちろん柄や色合いを重視しますが私は身につけることが多いため心地の良さを重視します。1日、身につけている布は肌に近いものの方が心地よいですから多くはシルクバティクです。
ジャワ更紗に使われてきた布は、多くは木綿です。
その中でも少数、絹布が使われてバティクを製作がされました。そしてそれは1820年代に遡ります。絹は全て中国産で主にジャワ島の北岸の華僑の経営するジャワ更紗工房で製作されました。
絹の高額な手描きバティクは、儀式用としてジャワ人、マドゥラ人、華僑、バリ人、ロンボク人などに人気があり送られ使用されたそうです。
そして、それは超越的な力が宿るののとして魔除けや病気の人が早く病気が完治するように巻かれ使用されたと文献にもあります。
この絹バティクは、下地が少しクリーム色でスト・タナー・リェックと呼ばれたのでした。
ストは、絹そしてタナー・リエックは粘土や大地のような意味があります。
このシルクバティクは、そこに手描きで平和と幸福のシンボル鳳凰を描いてあります。以前では高貴な人しか使用できなかった柄の一つです。
アート作品としての価値が高く、この帯部分は使用することなく30年以上大事に保存してきたものです。このようにバティクを通し、素材、柄、色などを調べていくと壮大なストーリに出会え本当に楽しく思います。
ちなみに養蚕は、紀元前に中国で始まりました。そしてこの珍しい時間の要する生地は皇族のみに許され、祝典には少し黄色みがかった絹を使用し服を作られました。中国は、絹の生産方法を長く秘密にし、蚕の持ち出しは死刑とまで条例を出しました。そのため絹地がヨーロッパなどで人気を集め高額で取引をされたときでさえ、その製法は誰も知りませんでした。綿のように植物から作られているという噂が広っていました。