2022/01/30 00:20
和紙に絵を描き出した20代の頃、簡単に描ける筆ペンで今のスタイルの絵を描きだした。私は、日本画出身でなく学んできたのは油絵。画材にこだわることなく自由に描いていた。和紙も画材屋で袋に入ったものを購入し、今のような一枚一枚手漉きで作られた和紙も使っていなかった。でも、表具師である垣内久人氏と出会った時、墨を擦り絵を描くことはよいと墨をいただいた。そして、少し面倒ではあったが久しぶりに硯で墨を擦った。そのとき墨の香り、墨のする音、手を動かす単純な動作の繰り返しに心落ち着き、絵を描くという行為へのプロローグのように感じたのでした。その後、私は墨や和紙、筆を選び手を抜かず、時間をかけて作品と向かい合うようになったのでした。